ピノチェト死去
ちょっと遅くなりましたが、去る10日(皮肉にも世界人権デーに)に南米チリの元大統領のアウグスティン・ピノチェトが死去しました。
1973年、陸軍の将軍の時に、3年前に世界で初めて選挙によって選ばれた社会主義政権だったサルバドール・アジェンデ大統領をクーデターで倒し政権を掌握、反対派を徹底的に弾圧して、16年に渡って君臨した独裁者でした。彼によって、政治的な理由で殺害されたり行方不明になった人は3000人、拷問を受けた人はその10倍にものぼると言われています。そして多くの人が祖国を追われ、スペインやメキシコなど、他の国に亡命を余儀なくされました。
あのクーデターに付いてはアメリカのバックアップがあったことを、パウエル前国務長官が、「不名誉な歴史」として認めています。当時は東西冷戦の真っ最中で、アジェンデたちによる、平等な社会を作るという実験を容認する余裕は無かったのでしょう。個人的には、その結果が見てみたかったと思いますが、それは許されませんでした。
アメリカの支援を受けたピノチェトはアメリカの経済学者フリードマンが提唱した新自由主義経済を推し進め、表向きは国の経済を立て直しましたが、その結果、更なる大きな貧富の差も生み出しました。そして、今、南米全体に広がったそんな格差社会への揺れ戻しとして、あちこちの国で左翼的な政権が登場しています。ブラジル、アルゼンチン、ボリビア、エクアドル、そしてベネズエラとその波は広がり、メキシコでもこの前の選挙でその寸前まで行きました。かつて、「アメリカは巨大なタコのように何本もの足でラテンアメリカの国々を締め付ける」と小説「ブエノスアイレス事件」の主人公に言わせていたのは、アルゼンチンの作家、マニュエル・プイグでしたが、イラクやイラン、北朝鮮に手間取っている今、ラテンアメリカまで、その足がまわらなくなったのでしょうか。
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