歌いながら夜を往け
今年は雪が降りませんね。僕は寒いのが嫌いで冬が大の苦手なので、喜ぶべきかもしれませんが、こうも暖冬だと、やはり、心配になります。地球、大丈夫かなあ。
それはさておき、このタイトルを見て懐かしさを覚えた方、同世代ですね。かつて、篠山紀信さんの「激写」などで一世を風靡した男性若者向け雑誌「GORO」誌上で作家の五木寛之さんが様々なゲストを迎えて行っていた対談企画の名前でした。
なんでこんな題にしたかというと、雪を懐かしがっていたら、昔のこんな思い出が蘇ってきたからです。
あれは、ざっと15年ほど前、当時、僕はニューヨークの寿司屋で働いていました。マンハッタンの西94丁目に一人でスタジオアパートメントを借りて住んでいたのですが、ある時、同じ店で働いていたメキシコ人のコックが転がり込んで来ました。なんでも、兄夫婦の家に同居していたものの、義理の姉の親戚が来たり、赤ちゃんが生まれたりで、そこに居辛くなったようなのです。まあ、しばらく置いといてやろうか、と思っていたら、いつの間にか、やはり同じ店で働いていた彼の友達まで居つくようになっていました。そんなわけで男3人が一つの部屋に同居するという非常にむさ苦しい状況になってしまったのですが、まあ、別に気を遣うような相手ではないし、楽しくやっていました。
ちょうど、雪深いニューヨークの冬の時期でした。僕達が働いていた店はイーストサイドの81丁目だったので、仕事が終わると3人で一緒にセカンドアベニューを86丁目まで歩いて、そこからセントラルパークを横切るバスでウエストサイドに行き、ブロードウエイを94丁目まで歩いて帰っていました。街は華やかでした。歩行者が通れるように、積もった雪は歩道と車道の間に壁のように固めてありました。そこを長い仕事から開放されて浮かれた気分で、ファン・ガブリエルやロス ブーキースなどの歌謡曲やアウグスティン・ララやホセ・アルフレッド・ヒメネスなどのクラッシックなメキシコの歌を男3人で歌いながら歩いたものでした。
若くて、悩みなんて無かった頃の楽しい思い出です。
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