2008年12月22日 (月)

メキシコに亡命した女性シュールレアリストたち

Varo_2  いよいよ、押し迫ってきました。今年も、あと、十日、ラストスパートです。

 来週は、火、水、木とクリスマス限定メニューをお出しします。ご予約も、ぼちぼち、入って来ました。一年に一度しか作らないメニューなので、今からレシピを引っ張り出してきて、調理法のイメージトレーニングをしています。予約をされている方達は、常連さんが多いので、ご期待を裏切らないように頑張ります。

お店には、長らくメキシコ旅行に行っていたスタッフのサダ君が戻ってきて、いろいろ、向こうの話を訊けて、刺激になっています。市場や屋台の料理、メスカルやテキーラの蒸留所の話など、やはり、メキシコは豊かな国だな、と思います。

 話は変わりますが、先日、一眼レフのカメラを買いました。取材で来る方達がサルシータの店内や料理の素敵な写真を撮ってくださるので、自分でも、あんな写真が撮れるといいなあ、と思ったのと、前から家庭用とは別に、仕事用にもう一台欲しいなあと思っていたので、、、初心者用のやつで、そんなに高くない物ですが、やはり、ズシリと重量感があって、良い写真が撮れるような気がするから不思議ですね。まだまだ、使いこなせていませんが、来年は、もっと料理の写真も撮っていこうと思っています。

 さて、この前の月曜日は、「メキシコの美の巨星たち」講座の最終回で、ヨーロッパから、メキシコに移り住んだ二人のシュールリアリストの女性画家、レオノーラ・キャリントンとレメディオス・バロについて、青山学院大の野中雅代先生の講義を受けました。

 上の絵は、バロの「鳥の創造」という作品ですが、こんな独創的な絵を描く人もなかなか居ないでしょうね。親友だったキャリントンの絵もすごいし、この二人は多才で小説も書いているんですね。こういう女性達に活躍の場を与えた、メキシコの懐の深さを感じました。

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2008年12月 9日 (火)

リベラとポサーダ

Rivera  師走に入って、いろいろと忙しくなってきました。うちのお店の場合は、忘年会のようなものは、少ないのですが、それでも、まとまったグループの予約が、ぽつぽつと入ってきています。クリスマスメニューの試作もしたりと、ちょっとバタバタして、先週は更新をサボってしまいました。

 先週の日曜日は、割とお客さんが早く退けて、時間があったので、溜まった書類などを整理していたら、なんと気が付いた時には終電の時間を過ぎてしまい、お店で寝るはめに、朝の8時頃、出勤する人たちと、逆の方向に歩いてとぼとぼと帰宅しました。せっかくの休日の朝なのに、情けない気分でしたね。

 家で一眠りしてから、近くの三軒茶屋のキャロットタワーで行われている「月のへそ」というメキシコのイベントに、家族で出かけました。ここでも、最近、よくお目にかかっている荒木珠菜さんの作品がたくさん展示しされていました。まあ、じつは、荒木さんというアーティストのことを僕に教えて下さったのは、このイベントの主催者の世田谷生活工房の方だったんですけれど、、、他にメキシコ最南の州、チアパス州の手作りの綺麗な紙や民芸品などもあって、楽しかったですよ。バザーでは、「アマテ」という樹の樹皮で作った紙に書いた絵を購入しました。お店に飾ろうと思います。

 さて、夜は恒例のジャパンファウンデーションのメキシコ講座へと出かけました。今回のテーマは、画家のディエゴ・リベラ。同時代を生きたオロスコ、シケイロスと共にいわゆる三大壁画家と呼ばれ、フリーダ・カーロの旦那としても有名な人です。偶然ですが、今日、12月8日は、彼の誕生日でもあったんですね。1886年のこの日に、グアナフアトで生まれています。実は、彼には双子の弟がいたのですが、僅か2才のときに亡くなってしまいます。後に、彼が大きな壁画を次々と描き、私生活でも奔放に遊びまわったものすごいバイタリティは、弟のぶんまで生きなければ、という思いがあったと言われています。

 講師は、メキシコの壁画家についての著書もある、加藤薫先生。今回、良かったのは、リベラの有名な絵だけではなく、幼少の頃のものから、印象派やキュービズムの影響が強い若き日のパリ時代のものまで、あまり知られていない作品を見せていただいたことです。セザンヌやピカソのような絵を描いていて、興味深かったです。しかし、メキシコの芸術家の宿命で、建築家のバラガンや詩人のパス、或いは小説家のフエンテスのように、メキシコ的なるものに、向かわざるを得なかったのでしょうね。

 メキシコ革命後という時代の背景もあるのでしょうが、熟年期以降の彼の作品は、社会へのメッセージ性が強いものが多くなってしまったことが、少し残念です。ぼくは、イデオロギー的な面が強い壁画よりも、メキシコの庶民の生活を描いた上のような作品のほうが好きです。

 そういえば、先週の講義は、リベラが影響を受けたとされる19世紀の版画家、ホセ・グアダルーペ・ポサダだったのですが、ガイコツを主人公にした風刺画で有名なポサダの素顔が、意外にもマジメ人間だったというお話でしたが、その反対に社会を啓蒙するような立派なことを描いたリベラが、私生活ではどうしようもないムヘリエゴ(女たらし)で酒好きだったというのも、面白いなと思いました。

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2008年10月 7日 (火)

マニュエル・アルバレス・ブラボ

Bravo  世界同時株安の影響でしょうか?平日は閑でも週末は盛り返して満席になるはずだったのに、先週は、週末にも客足が伸びませんでした。

 第二の世界大恐慌の始まりか、なんて暗いニュースが多いので、皆さん、出費を控えてしまうのでしょうか?それとも、単に忙しいからなんでしょうか?「景気は気分」とも言いますからね。明るい気分になって、ぱっと使えば、自然に景気も良くなるのではないでしょうか、、、って楽天的すぎますかね?

今日は久々に娘達と出かけました。はじめは、六本木の森美術館でやっている荒木珠菜展に行こうかと思ったのですが、せっかく六本木ヒルズの屋上に行けるのに、生憎の天気で展望台がやっていないようだったので諦めて、近所の三軒茶屋のキャロットタワーに行きました。ここは、26階と、六本木ヒルズの半分の高さしかありませんが、屋上からの景色はなかなかだし、何よりも無料なのでね。 最上階のレストランでお昼を食べました。下の商店街のお店は、お昼時で、どこも混んでるようだったけど、この上のレストランは空いていて、天気は悪かったけど、一応、東京の街を見下ろしながら久し振りにゆっくりとご飯を食べられました

夜は、ジャパンファウンデーションの「メキシコの美の巨星たち」講座の3回目へ。今回のテーマは、20世紀を代表する写真家の一人と言われるマニュエル・アルバレス・ブラボ。講師は写真家で、多摩美術大教授の港千尋さんでした。「20世紀を代表する」と言われるに相応しく、彼は1902年にメキシコシティで生まれ、2002年に100歳でメキシコシティにて亡くなっています。つまり20世紀の殆どを、生涯殆ど離れなかったメキシコシティで目撃しているわけです。彼については、少しは知っていて、写真集も1冊持っていますが、そんなに深くは理解していなかった。今回の講義で、何故、彼がカルティエ=ブレッソンと比肩しうるほどの偉大な写真家だったのかが分かった気がしました。何気なく撮ったように見える一枚のポートレイト写真でも、見方によると色々なメッセージが込められているのだな、ということを教えられました。前回の、斉藤裕さんによるバラガン建築の解説でもそうでしたが、専門家の方の解説で、今まで見過ごしてきた細かい点に作者の意図が隠されている、ということに気付かされました。メキシコというと明るいカラフルなイメージですが、彼の写真は、時代のせいもありますが、白黒ばかり。それでいて、照りつける強烈な太陽の光とそれに対比する影を使って、実にメキシコ的と言える写真を撮り続けている、ルイス・ブニュエル映画などで撮影監督を務めた巨匠ガブリエル・フィゲロアの世界に通じるものを感じましたが、ブラボは実際、ブニュエル作品や、ジョン・フォード作品にも助監督のような役割で参加していたらしい。その時にフィゲロアとも交友があったみたいなことを、会場にいらっしゃっていた野谷文昭先生もおっしゃっていました。野谷先生は、さらに、作家フアン・ルルフォの撮った写真とブラボ作品の相似性にも言及されていましたが、メキシコ生まれの芸術家はジャンルは違えど、皆、メキシコ的なるものを追求していくざるを得ないということでしょうか。そういえば、ブラボが80歳くらいの時に撮った、作家カルロス・フエンテスのポートレイトも見せて頂きましたが、鮮やかな光と影の使い方で、背景に垂直、水平の真っ直ぐの線を描く格子ガラスを配して、いかにも理知的なフエンテスの人物性をくっきりと浮き出していました。こういう高齢になってもこんな隙の無い仕事をしていたブラボに、先日、料理写真の撮影でお世話になった写真家の佐伯先生を思い出してしまいました。

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