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2011年7月12日 (火)

MEXICO'S TRAGEDY

Time_2 先日、いつものようにナショナル麻布スーパーのレジに並んで、目の前にあった英語雑誌の表紙を何気なく眺めていると、とても衝撃的な言葉が眼に飛び込んできました。

 MEXICO'S TRAGEDY(メキシコの悲劇)

思わず手に取って買い物カゴに入れ、お店に帰ってから開いてみると、やはり、というか、ここ数年、一般人を含めて多くの犠牲者を出している麻薬戦争の話でした。

 ぼくが海外に居たころ、今から14年から20年くらい前ですが、麻薬戦争が最も盛んで、最大の犠牲者を出していたのは、コカインの生産国であるコロンビアでした。1993年にコロンビアを訪れた時、泊っていたホテルの前に戦車が止まっていてびっくりした思い出があります。テロ対策で、あちらこちらでバッグを開けさせられ、爆弾を持っていないか調べられたりもしました。

 しかし、今や麻薬戦争の主戦場は生産国のコロンビアから運搬の経由国のメキシコに移っていて、メキシコの麻薬絡みの殺人事件の被害者は、去年、1万5千人以上と5年前の7.6倍にもなっているそうです。特に国境地帯の暴力は凄まじく、フアレスという町では昨年だけで3200人が殺されて、「世界で最も危険な町」という称号を得ています。ここも、僕が昔訪れた時には、穏やかな町、という印象だったんですが、、、

 この辺りの事情は、ドン・ウイズロウの小説「犬の力」に書かれていたとおりになっていますね。麻薬の生産は、ちょっと乱暴に言えばどこでも出来る。けれど、麻薬の最大の消費国はアメリカ合衆国、そしてこの国に隣接していて長大な国境線を共にしているのはメキシコ。この事実は変えようがない。そして、流通を支配するものが、巨大な麻薬マネーを手にする。薄給で働いている警察官を簡単にリクルート出来るくらいの、、、銃大国の合衆国から武器はいくらでも手に入る。メキシコの昔の大統領の言葉、「メキシコは、神からあまりにも遠く、合衆国からあまりにも近い。」という言葉を思い出します。

 希望も少し。記事は、今、メキシコで盛り上がっている、市民主導の麻薬戦争撲滅運動にも触れています。この運動を先導しているのは、メキシコの最も著名な詩人、小説家のハビエール・シシリア。実は彼の息子フアンが、今年の3月、麻薬絡みのトラブルに巻き込まれて殺されたのです。それをきっかけにハビエールが立ち上がり、麻薬戦争撲滅運動を開始、40以上の都市が呼応してメキシコ国内で大きな流れを作りました。5月には、メキシコシティに20万人が集まって大規模なプロテストが行われたようです。彼らは、とてもメキシコ的な言い回しで、こう叫んでいます。"Estamos hasta la madre!"(俺たちはもうたくさんだ!)

 

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