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2011年6月 7日 (火)

レオノーラ・キャリントン

Photo  ちょっと前に、新聞で、メキシコに長く暮らして活躍したイギリス出身のシュールリアリズムの画家、レオノーラ・キャリントンの訃報を見つけました。去る5月22日に亡くなったようです。94歳でした。

 彼女のことは、二年ほど前に受けたジャパンソサエティで受けたメキシコの芸術家達についての講義に、彼女とレメディオス・バロについての回があって、それで知りました。

 メキシコの女性画家というと、フリーダ・カーロが圧倒的に有名ですが、彼女以外にも、こんなシュールでメルヘンチックで不思議な絵を書く人がいるんだ、と驚いたのです。(彼女もバロも出身はヨーロッパですが)

 レオノーラさんは、絵以外にも、文学の才能もあって、小説も書いています。今回、彼女の長編小説、「耳らっぱ」を読んでみました。とても面白かったです。

511tns7782l__bo2204203200_pisitbsti  主人公は92歳の老婆マリアンで、キャリントン自身がモデルになっています。(これを書いた時、彼女は40才代で、実際には94まで生きたことになります。)歯が一本も無く、耳もほとんど聴こえない彼女が、親友のカルメン(こちらはバロがモデル)から「70歳以下の人間と7歳以上の人間を信用してはだめよ、猫でもないかぎりね。」というアドバイス?と共に、それを着けると他人の声がとてもよく聴こえるようになる耳らっぱをプレゼントされた時からいろいろなことが起こりだします。

 まず、息子夫婦に、家族の厄介者として老人ホームに入れられます。そこで70才以上100才未満の老女9人の奇妙な集団生活が始まり、そこにあった一枚の奇妙な絵から中世の伝説が甦り、そこに殺人事件や天変地異が巻き起こり、、、話はすごい勢いで進んでいきます。

 とにかく、92歳のマリアンや他の老女たちが自由闊達で想像力豊かで驚かされます。老いて行くというのは、どちらかというとネガティブなイメージですが、これなら悪くない、というか、楽しそうだな、と思えてきます。

 そして、話はさすがにシュールリアリストらしく、生き生きとした想像力に満ち溢れているのですが、実はキャリントンのルーツはアイルランドにあって、そこにケルト的な妖精や神話の世界が編みこまれているのと、キリスト教の伝説が下敷きにあるところはヨーロッパ的だな、というか、やはりブニュエルもそうですが、(そういえばこの本の帯には彼による推薦の言葉がありました)キリスト教やヨーロッパ的なものが下地にあって、そこに対する反発から始まっているのかな、という印象を受けました。

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