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2011年6月14日 (火)

ジュリア・チャイルド

Juliachildmylifeinfrance  ジュリア・チャイルドという、とても有名な往年のアメリカの料理研究家のことを、あちらに数年暮らしたことがあったのに、知りませんでした。

 初めて知ったのは、2年前くらいに、ジュリー・パウエルというニューヨークに住む女性が、ジュリアの有名料理本"Mastering the Art of French Cooking"の中のすべての料理を1年がかりで作る、というプロジェクトをブログで公開して話題になり、最終的に映画化までされたからでした。サルシータの隣のパン屋さんの上に、主演のメリル・ストリープがローストチキン用の丸鶏を大きく広げて満面の笑みを浮べている大きな映画の宣伝ポスターが貼られていたのです。

 そのときは映画が気になりながらも、映画館で映画を観る余裕は、ここ数年、まったく無いのでそのままになっていました。ところが、ここのところ、いろんな料理に関する本をアマゾンで買って読んでいると、おススメ本として、あの映画の原作本「ジュリー&ジュリア」が紹介されていたので、取り寄せて読んでみました。そこには、料理番組の元祖とでもいうべき、ジュリア・チャイルドのテレビショウ「フレンチ シェフ」や、件の本「マスタリング~」が70年代のアメリカで、どれだけ人気があり、ジュリアという女性が当時の主婦たちに愛されていたかが書かれてあり、ジュリア・チャイルドという女性に対して、とても興味が湧いてきました。

 そこで、彼女の自伝”My Life in France”を取り寄せて読んでみました。久々の英語本です。内容はこの時、90歳近い高齢の彼女の語りを、ライターである甥のアレックス・プルドームがまとめたようです。特に料理に興味を持たず、第2次世界大戦直後に大使館勤務の夫のポールに付いてパリに渡り、そこで本物のフランス料理に出会って衝撃を受けたところから、パリのコルドンブルー料理学校での勉強の日々、楽しかったパリでの毎日の様子が生き生きと書かれていて、とても面白かったです。何より、ジュリアの楽観的で正直、そして前向きなところが好感が持てます。リベラルで外国文化や芸術に造詣が深い夫のポールに対して、保守的で頑固者、共和党支持のタカ派で芸術に興味の無い父との葛藤や母国アメリカでのマッカーシーの赤狩りの時代のこと、アメリカで、手間を惜しまずに作る本物のフランス料理の本を世に出したくて、あちこち掛け合うものの、簡単で早く出来る料理でないと売れないから駄目だと軒並み断られる話とか、時に気難しくなるフランス人のパートナー、シモン・べックとの関係とか、ネガティブなところもあるのですが、彼女は持ち前の明るさでこれらを克服していきます。

 一途な彼女は誰でも失敗せずに作れるマヨネーズのレシピを完成させるために、何度も何度も、たくさんの卵と油を使いながら涙苦しいまでに実験していきます。何冊かの著名な料理本を参照してみて、それらに出ているレシピがけっこう、いい加減なことを暴露してるところは、ぼくにも思い当たることがあるので、笑ってしまいました。こんな、正直で一途なところが彼女を成功に導いた原因なんでしょうね。

 この本と並行して、何冊かのアメリカ人の書いた料理に関する本を読んでいたのですが、そのどれもに、ジュリア・チャイルドという名前が一度は出てきていて、彼女は2004年に亡くなっているのですが、その影響力は、まだまだすごいんだなと思った次第でした。

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