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2011年6月

2011年6月28日 (火)

ウイチョール族の世界、 原宿luby's

 早いもので、もう6月も最後の週に突入ですね。まだ、梅雨は明けてないけど、先週の後半は、とても暑くてまいりました。夏のレストランのキッチンはすごい暑さになります。今年も夏バテとの闘いだ!

 今日は、天気もどんよりで、比較的涼しくて過ごしやすかったですね。お店に行ってみると、郵便受けに、青山のスパイラルビルの地下のレストランCAYで始まったウイチョール族のアート展の案内が届いていました。そういえば、この展覧会、うちがテキーラを仕入れているグローバルコメルシオさんが協賛していて、ちょっと前にお話しは聞いていたのを思い出しました。見てみると、もう今月いっぱいで終わってしまうようなので、ああ、今日しかない、と思い、急きょ、訪ねてみることに。

 10003743735_s その前に、いつもサルシータに来て下さっている近藤さんのお店、原宿LUBY'Sに立ち寄りました。近藤さんは、洋服のお店をやられていますが、お友達の恵比寿の美容室ヘアーの奥田さんと一緒に、恵比寿時代からよくサルシータに食べに来て下さっていて、僕ら3人は、同年代で、業界は違えど、それぞれ自分でお店をやっているという共通点があるので、けっこう話し出すと盛り上がるんですよね。同じレストラン業界の人達には話しにくいことも話せちゃったり、他の業界の話しを聞くのも面白かったりして、、、

 近藤さんは、定期的にアメリカに買い付けに行かれていて、実は、今回も戻って来たばかりだったんですね。けっこう時差ボケで大変そうでした。買い付けの様子なんかをブログに書かれていますが、涙無しでは読めません!(笑) ぼくも、昔、車で10日かけてアメリカ縦断の旅をしたことがあるので、昔の映画に出てきそうな、アメリカの田舎町の画像なんか見てると、懐かしいですね。

201009_cay_info   LUBY'Sで、夏用にTシャツ2枚ゲットしてから、青山のCAYに。ここはライブも行われるくらいの大きなレストランなんですよね。大昔にぼくの好きなニューヨークのメレンゲバンド、Los Vecinosもライブをしたことがあるという、、、その店内に、あのメキシコの先住民、ウイチョール族の独特の世界観を持った刺繍やビーズの作品が飾られていました。さすが、選ばれて日本に持ち込まれているものだけあってとても素晴らしいものばかりでした。とても、大きなものもあり、彼ら独特の世界観が描かれていました。

 ウイチョール族は、ハリスコ州北部とナヤリット州に跨る山岳地帯に住んでいて、一年に一度行われる40日以上にも渡る「巡礼」で聖なるサボテン、ペヨーテを食べて、そこで得たインスピレーションで独特の色彩感覚を持つタペストリーやビーズアートを造り出します。全てのものに霊が宿っていると考える先住民独特の自然崇拝から来る神話的世界や鮮やかな色使いは、パナマの先住民クナ族のアート、モラに通じるところも感じます。

 お店で使うお皿やグラスの買い付けに、ハリスコ州の州都グアダラハラ近辺に行くことがありますが、そこでウイチョール族の人が民芸品を売りに来ているのをよく見かけました。サルシータにも、1点、サポパンという町で買ったウイチョールのアートが飾ってあります。

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2011年6月20日 (月)

アマンダの恋のお料理ノート

510mb2cyf3l__sl500_aa300_先週、ちょっと触れた 「ジュリー&ジュリア」の中に、ニューヨークタイムスの女性料理記者、アマンダ・ヘッサーが、ジュリア・チャイルドのレシピに挑戦しているジュリーのブログの評判を聞いて、ジュリーの家に取材に来たエピソードが書かれていました。

 この本は、そのニューヨーク在住の料理記者、アマンダが自身の恋愛の様子(初デートから結婚式まで)を綴りながら、そんな彼女の生活に登場する美味しい料理のレシピを添えたものです。面白くて、一気に読んでしまいました。

英語の原題は"Cooking for Mr. Latte"で、これは、初デートで入ったレストランでウイットに富んだ会話で楽しませてくれたハンサムな彼が食後にカフェラテを注文したことから、アマンダが将来の旦那さん、タッドに「ミスターラテ」とあだ名を付けたからだそうです。彼女、そして多くの食通な人達によると食後に頼むのは、絶対にエスプレッソで、カフェラテなんてとんでもない!らしく、魅力的に見えた彼が、食事の最後にカフェラテを頼んだとたん、グルメなアマンダはずっこけちゃったんですね。

 食後にカフェラテを頼む人、サルシータにはけっこういらっしゃいますけどね、まあ、うちのようなカジュアルなお店だから良いでしょう。まあ、フルコースのディナーにデザートまでたっぷり食べた後だったら、やはりエスプレッソのほうが欲しくなるかな、、、

 さすがにグルメな彼女の生活に登場する料理だけあって、添えられているレシピは、とても美味しそうです。忙しいニューヨーカーの食事らしく、シンプルなものが多いので作りやすそうだし。結婚を前に、マンハッタンからブルックリンハイツに引っ越した彼らを友人が「偽っこブルックリン」とからかうところが面白かった。あと、雑誌「ニューヨーカ―」の記者であるタッドの台詞、「サリンジャーをご覧、ベジタリアンになったとたんに一冊も書かなくなった。」というのもなるほどー、という感じ。田舎に住む彼女の85になるおばあちゃんのお話が面白かった。働き者で料理好きで、イタリアに旅行に行っても、アメリカ式の食生活を変えない頑固者で、、、そして彼、ミスターラテのおかあさんは、まさにジュリア・チャイルドに洗礼を受けた世代で、キッチンの壁にジュリアが広めた、穴の空いたコルクボードがかけてあった、という話にも、ふーんという感じでしたね。ジュリアの自伝にも、彼女が夫のポールにこのボードを作ってもらう話が出ていましたからね。

 メキシコ料理のレシピも出てくるかな?と期待したのですが、僅かにテキサス式のコーン入りのサルサが出てきた程度でした。残念!これが、カリフォルニアやテキサスの人が書いた本だったら、もっと出ていたんでしょうけどね。

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2011年6月14日 (火)

ジュリア・チャイルド

Juliachildmylifeinfrance  ジュリア・チャイルドという、とても有名な往年のアメリカの料理研究家のことを、あちらに数年暮らしたことがあったのに、知りませんでした。

 初めて知ったのは、2年前くらいに、ジュリー・パウエルというニューヨークに住む女性が、ジュリアの有名料理本"Mastering the Art of French Cooking"の中のすべての料理を1年がかりで作る、というプロジェクトをブログで公開して話題になり、最終的に映画化までされたからでした。サルシータの隣のパン屋さんの上に、主演のメリル・ストリープがローストチキン用の丸鶏を大きく広げて満面の笑みを浮べている大きな映画の宣伝ポスターが貼られていたのです。

 そのときは映画が気になりながらも、映画館で映画を観る余裕は、ここ数年、まったく無いのでそのままになっていました。ところが、ここのところ、いろんな料理に関する本をアマゾンで買って読んでいると、おススメ本として、あの映画の原作本「ジュリー&ジュリア」が紹介されていたので、取り寄せて読んでみました。そこには、料理番組の元祖とでもいうべき、ジュリア・チャイルドのテレビショウ「フレンチ シェフ」や、件の本「マスタリング~」が70年代のアメリカで、どれだけ人気があり、ジュリアという女性が当時の主婦たちに愛されていたかが書かれてあり、ジュリア・チャイルドという女性に対して、とても興味が湧いてきました。

 そこで、彼女の自伝”My Life in France”を取り寄せて読んでみました。久々の英語本です。内容はこの時、90歳近い高齢の彼女の語りを、ライターである甥のアレックス・プルドームがまとめたようです。特に料理に興味を持たず、第2次世界大戦直後に大使館勤務の夫のポールに付いてパリに渡り、そこで本物のフランス料理に出会って衝撃を受けたところから、パリのコルドンブルー料理学校での勉強の日々、楽しかったパリでの毎日の様子が生き生きと書かれていて、とても面白かったです。何より、ジュリアの楽観的で正直、そして前向きなところが好感が持てます。リベラルで外国文化や芸術に造詣が深い夫のポールに対して、保守的で頑固者、共和党支持のタカ派で芸術に興味の無い父との葛藤や母国アメリカでのマッカーシーの赤狩りの時代のこと、アメリカで、手間を惜しまずに作る本物のフランス料理の本を世に出したくて、あちこち掛け合うものの、簡単で早く出来る料理でないと売れないから駄目だと軒並み断られる話とか、時に気難しくなるフランス人のパートナー、シモン・べックとの関係とか、ネガティブなところもあるのですが、彼女は持ち前の明るさでこれらを克服していきます。

 一途な彼女は誰でも失敗せずに作れるマヨネーズのレシピを完成させるために、何度も何度も、たくさんの卵と油を使いながら涙苦しいまでに実験していきます。何冊かの著名な料理本を参照してみて、それらに出ているレシピがけっこう、いい加減なことを暴露してるところは、ぼくにも思い当たることがあるので、笑ってしまいました。こんな、正直で一途なところが彼女を成功に導いた原因なんでしょうね。

 この本と並行して、何冊かのアメリカ人の書いた料理に関する本を読んでいたのですが、そのどれもに、ジュリア・チャイルドという名前が一度は出てきていて、彼女は2004年に亡くなっているのですが、その影響力は、まだまだすごいんだなと思った次第でした。

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2011年6月 7日 (火)

レオノーラ・キャリントン

Photo  ちょっと前に、新聞で、メキシコに長く暮らして活躍したイギリス出身のシュールリアリズムの画家、レオノーラ・キャリントンの訃報を見つけました。去る5月22日に亡くなったようです。94歳でした。

 彼女のことは、二年ほど前に受けたジャパンソサエティで受けたメキシコの芸術家達についての講義に、彼女とレメディオス・バロについての回があって、それで知りました。

 メキシコの女性画家というと、フリーダ・カーロが圧倒的に有名ですが、彼女以外にも、こんなシュールでメルヘンチックで不思議な絵を書く人がいるんだ、と驚いたのです。(彼女もバロも出身はヨーロッパですが)

 レオノーラさんは、絵以外にも、文学の才能もあって、小説も書いています。今回、彼女の長編小説、「耳らっぱ」を読んでみました。とても面白かったです。

511tns7782l__bo2204203200_pisitbsti  主人公は92歳の老婆マリアンで、キャリントン自身がモデルになっています。(これを書いた時、彼女は40才代で、実際には94まで生きたことになります。)歯が一本も無く、耳もほとんど聴こえない彼女が、親友のカルメン(こちらはバロがモデル)から「70歳以下の人間と7歳以上の人間を信用してはだめよ、猫でもないかぎりね。」というアドバイス?と共に、それを着けると他人の声がとてもよく聴こえるようになる耳らっぱをプレゼントされた時からいろいろなことが起こりだします。

 まず、息子夫婦に、家族の厄介者として老人ホームに入れられます。そこで70才以上100才未満の老女9人の奇妙な集団生活が始まり、そこにあった一枚の奇妙な絵から中世の伝説が甦り、そこに殺人事件や天変地異が巻き起こり、、、話はすごい勢いで進んでいきます。

 とにかく、92歳のマリアンや他の老女たちが自由闊達で想像力豊かで驚かされます。老いて行くというのは、どちらかというとネガティブなイメージですが、これなら悪くない、というか、楽しそうだな、と思えてきます。

 そして、話はさすがにシュールリアリストらしく、生き生きとした想像力に満ち溢れているのですが、実はキャリントンのルーツはアイルランドにあって、そこにケルト的な妖精や神話の世界が編みこまれているのと、キリスト教の伝説が下敷きにあるところはヨーロッパ的だな、というか、やはりブニュエルもそうですが、(そういえばこの本の帯には彼による推薦の言葉がありました)キリスト教やヨーロッパ的なものが下地にあって、そこに対する反発から始まっているのかな、という印象を受けました。

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