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2011年1月 8日 (土)

ソル ファナ

Sor_juana今年、初めて読み終わった本、素晴らしかった!

知への賛歌 修道女ファナの手紙」 

ソル ファナ イネス デ ラ クルス 著   

旦敬介 訳

 著者のソル・ファナ(ソルというのはスペイン語で修道女を指す呼称)は、メキシコが、まだスペインの植民地だった17世紀の後半に生きた女流文学者、詩人、、、メキシコのお金、200ペソ紙幣に彼女の肖像画が印刷されているので、メキシコに行ったことのある人は殆ど、目にしたことがあるはずです。Bill_200_d1

 彼女が、その人生の大半を過ごした、メキシコ市の中心部にあるサンヘロニモ修道院は、現在、彼女の名前を冠した大学 (クラウストロ ソル ファナ 大学)になっています。そこにはガストロノミーの学部もあり、ぼくは、十数年前にそこの一般人向けのコースで料理を学ばせてもらったことがあるので、ファナさんのことは、前からちょっと気になっていたのですが、やはり、今から300年以上も前に生きた修道女、ということで、どちらかというと道徳的にとても模範的で堅苦しいイメージ、ちょっと取っ付きにくいかな、と勝手に思ってそんなに強い興味は持っていませんでした。

 ところが、この本を読んでそんな彼女に対する先入観が一気に覆されてしまいました。

 彼女は、若く、聡明で美しく、才能に溢れた詩人で、修道女でありながら、恋愛観や女性の権利、抑圧的な社会や男性に対する批判を恐れることなく作品に著した驚くべき人だったのです。そして、平民出身でありながら、その時代のスペイン語圏の文学界で最大のスターとなるほどの名声を得たのでした。今回、彼女の作品に触れて、その瑞々しい感性と機智に富んだ世界に魅了されましたが、封建的な植民地の社会体制のもと、しかも禁欲的なカトリック社会の中心で、これだけフランクに自分の意見を表明出来た、というのが凄い。

 訳者の旦敬介さんが詳しく解説されているのですが、彼女は宗教心から修道女になったわけではなく、平民出身の女性、という社会的なハンディを乗り越えて文学の道を志せる唯一の手段として、戦略的に修道女になったのでした。そしてそのことを公言して憚らなかった勇気と率直さを持っていました。

 スペイン語で"atrevido"(女性に対してはatrevida)という言葉があって、大胆な、とか思いきった、とかいう意味なのですが、彼女に対してはそんなイメージを持ちました。この本を読んでいて、余りに、ハッとさせられるところが多かったので、学生時代以来、何十年振りかにペンを片手に、心に残ったところは線を引きながら読んでしまいました。 (続く)

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