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2010年7月

2010年7月29日 (木)

ブニュエルの夜

 去る7月26日(月)、サルシータにてメキシコ映画とメキシコ料理を楽しむイベント、「真夏の夜のブニュエル」が行われました。映画はスペイン出身のシュールリアリズム、そして宗教映画の大家、ルイス・ブニュエルのメキシコ時代の作品「ナサリン」、そしてメキシコの代表的な料理である「鶏肉のモレポブラーノ」にスペイン伝来のデザート「ブニュエロ」を参加された17名の方たちと楽しみました。

 この「ナサリン」という映画は、ブニュエルにとってメキシコ時代の後期の作品で、シュールリアリズムな面は影を潜め、その代わりに、カトリックについて正面から取り組んだものです。

 Nasarin 20世紀の初頭、カトリックの神父でありながら、教会に属さず、メキシコシティのスラム街で貧しい人達と共に暮らし、彼らに神の教えを説く純粋な心の持ち主、ナサリン。ちょっとした諍いから殺人を犯してしまった娼婦、アランダを善意から匿ったが、それが世に知れてしまい、証拠隠滅を図ったアランダに部屋に火を放たれて、地方へと巡礼の旅に出ることになる。行く先々で、人々に善意を施し、時に病気の子供を蘇らせるというような奇跡をもたらすが、時には、皮肉にも不幸な結果をもたらしたりする。賃金はいらない、食べるものだけで、と働き始めた工事現場では、働いてお金を得たい人達と安い金で働かせたい雇い主とのトラブルを生じさせ、殺人が起きてしまう。ペストで次々と人が倒れている村では、死にかけている女性に、天国の存在を説いて最後の魂の安楽をもたらせようとするが、女に「天国よりも恋人の傍に居たい」と拒絶されてしまう。メキシコシティで男に捨てられ自殺を図ったあと、ナサリンの助言に救われた女、ベアトリスと件の娼婦アランダに再会し、彼女達は神父の巡礼に同行したいと言いだす。始めは拒否するものの、善意から断り切れず、許してしまうが、それがまたトラブルのもとになって捕えられてしまう。拘置所で他の罪人からいわれなき虐待を受け、神父の心に、初めて人を軽蔑する心が芽生える、彼はそれを認めざるを得ないが、彼らを赦そうとする自分の心に矛盾を感じる。そのとき、助けてくれた他の罪人に感謝の意を述べると「俺は悪、お前は善、違う道を歩んでいるが、どちらも世の中の役に立っていないところは同じだ。」と告げられる。結局、神父は罪人として引き立てられ、ベアトリスは、元の男のもとに戻ってしまう。アランダも殺人の罪で捕えられる。

 まあ、こんな内容ですが、最後に印象的なシーンがあって、引き立てられていくナサリンを果物売りの老女が憐れんでパイナップルを恵もうとすると、神父は、始め拒絶し、しかし、その後少しして思い直して受け取ります。ノーベル文学賞を受賞しているメキシコの詩人オクタビオ・パスはこの場面を指して「ナサリンは神から離れて人間を受け入れている。」と解説しています。神という観念的な世界から離れ、実際に生きている人間という世俗的な世界に身を投じようという彼の変化が見てとれるというのです。

 ブニュエルの描くナサリン神父は、「もしイエスキリストが現代にいたら?」という問いかけをしているような気がします。自分の欲が無く、善意の塊のような人が、煩悩溢れる実際の世界では、結果的に人に不幸をもたらしたりする迷惑な存在に成り得る、という皮肉。このこと自体がもしかしたらシュールレアリズムといえるのかもしれませんね。そういえば、おお真面目に正しい騎士道を実践しようとして、なにか間抜けな結果に終わってしまうドン・キホーテにも通じるような、、、

あれ、イベントのことを書こうと思ったのに、映画の話をしていたら、長くなってしまいました。とりあえず、このイベントの第二回目を8月23日に予定している、とだけ告知しておきます!

 

 

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2010年7月20日 (火)

LUCHA FIESTA 2010

2caf1d23s 今日は海の日、暑かったですねえ。

 そんななか、「コロナビール」さんから招待してもらった、日本ーメキシコ友好400周年記念イベントの「ルチャ フィエスタ 2010」にスタッフと行ってきました。

 会場の後楽園ホール近辺は、ちょうど野球のジャイアンツ戦も行われていたこともあって、すごい人!

 恵比寿でレストランもされている、メキシコ歌謡の歌手、サム・モレーノさん率いる「マリアッチ サムライ」の演奏でスタートした今回のイベント、メキシコ大使もリングサイドで観戦されていて、会場は数多くのメキシコ、ルチャリブレファンで埋まっていて大盛況でした。

ぼくにとっては、およそ18年振りのルチャ観戦(日本ではもちろん初めて)でしたが、ルチャドール(レスラー)達のエンターテイメント精神がすごくて、たいへん、面白かったです。

 ルチャリブレというと、昔のマスカラスやタイガーマスクのような「空中戦」のイメージが強くて、確かにそれもすごいんですが、もうひとつ、"LLAVE"(ジャべ:鍵という意味)と呼ばれる関節技もけっこうあるんですね。そして、これが、主催した「ウルティモ ドラゴン」さんが見せたかったルチャの真髄かな、とも思ったのですが、まるで劇のようにストーリー性があって、(そのストーリーの中には、歓喜、苦悶、不正、友情、裏切り、などの実社会にある要素が混沌と組み込まれていて)主役、脇役がそれぞれの役柄を演じきっていて観客を楽しませるということに徹しているところが、メキシコらしいな、と思いました。

 ルチャリブレ、機会があったらまた、見てみたいですね。

 

 

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2010年7月19日 (月)

夏のおすすめ!

Veracruzana_2 うっとおしい梅雨もやっと明けて、強い夏の陽射しが照りつけてきました。

 こんなときには、旬の赤いトマトを使って酸味の利いた爽やかな味の料理が良いかな?と思って、こんな料理を、今、出しています。

「真鯛のグリル ベラクルースソース」

メキシコ湾の古い港町ベラクルースの名物でメキシコを代表する魚料理でもあります。メキシコでは鯛のことを"HUACHINANNGO"(ウワチナンゴ)と呼びます。スペイン語由来ではない、先住民の言葉ですね。鯛は日本でも魚の王様ですが、メキシコでも人気があるんですね。

サルシータでは、鯛は鹿児島や長崎から天然物を仕入れています。やはり、養殖物より香りが良いし、身も締まってますからね。まあ、ここ最近のような悪天候だと、物が少なくなって値段が上がったりして大変なんですが、、、

 ヨーロッパから来た人達にとってメキシコへの入り口だった港町ベラクルースだけあって、このソースには、オリーブ、ケッパー、にんにく、パセリ、といった地中海風料理に使われるような材料が多く入っています。ただ、ここでメキシコらしさを出してくれているのが地元ベラクルース原産の唐辛子ハラペーニョです。(ハラペーニョとは、ベラクルース州の州都ハラパ風の、という意味です。)普通の青唐辛子より、コクのある風味の辛さでこの料理にキックを与えてくれています。

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2010年7月15日 (木)

斉須ワールドにハマる!

Saisu_2 ワールドカップのあいだ、やっぱりお店は静かでしたね。特にランチは、、、皆さん、夜更かしして昼間は眠かったんでしょうね。

ぼくは、そんなとき、ちょっと時間が空くと、斉須征雄さんというフランス料理の名店「コートドール」のオーナーシェフの方が書かれた本にハマっていました。この方、料理はもちろん素晴らしいのでしょうが、文章もとても上手くて、いや、技巧的に上手いのではなく、なんていうかな、言葉に力があるんですね。あの糸井重里さんも、その名も「調理場という戦場」という本の帯に書かれている通り、「熱くて深くて、火が出るような言葉が盛りつけられています。」 それで、ぼくも、斉須シェフには遠く及ばないけれど、料理人のはしくれですから、とても共感するところもあったりして、いや、身につまされることのほうが多いのですが、ついついずっと読んでしまいました。

 言葉も分からないままフランスに渡って、初めはとても苦労されながら頑張って、名だたる星付きのレストランで認められるようになった話も面白いし、食材や料理についての話、仕事に対する姿勢の話にも、なるほどなあと思うことがたくさんありました。例えば、「味は加えるものではなく、滲み出るものでしょう。」「にんげんの生き方から出るダシがいちばんおいしいものなのです。」「ものを作るのは知識ではない、体だ」「非効率が手仕事の塩梅をよくする、、、」「うまいことやっていけるのか、よりも、日々、自分に挑んで生きているのか?の方がずっと大きいのではないでしょうか。」などなど、、、

 トップで居続けている人は、そこに安住している人ではなく、常に努力を怠らない人なんだなと思いました。

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2010年7月13日 (火)

スペイン優勝!

Rtr201007120114 一か月に渡ったワールドカップの興奮はスペインの初優勝で幕を閉じましたね。前にも書いたとおり、スペインは大好きな国なので素直に嬉しいです。いつも沈んでいた「不沈艦隊」がついに最後まで行きましたね。初戦のスイス戦に敗れたときにはどうなることかと思いましたけど。

 延長戦の後半10分くらいで決勝ゴールを決めたイ二エスタはとても良い選手ですね。バルセロナではメッシに隠れているけど、よく走るし、パスもドリブルもすごく巧くてシュートも決めれるオールラウンダ-で、キャラクターもビジャのような濃いラテン系ではなく、なんとなく赤塚富士夫さんの漫画に出てくる「でこっぱち」みたいで親しみやすいし(笑)、、、

ゴールを決めたら、彼はすぐにユニフォームを脱いで喜びを表現していたのですが、下に着ていた白いシャツに何かメッセージが書かれていたのですが、その時はちょっと判らなかった。後でネットで調べたら、あそこには"DANI JARQUE SIEMPRE CON NOSOTROS"(ダニ ハルケはいつも我々と共にいる。)と書かれていたんですね。昨年、不慮の急死を遂げた親友のフットボール選手へのメッセージが書かれていたんですね。試合中にユニフォームを脱ぐとイエローカードをもらうことになるのですが、それを覚悟で親友にゴールを奉げたというのは、ちょっといい話ではないですか?もちろん、それで負けてしまったら元の粉も無いのですが、、、あの時間でしたしね。アメリカ大会でブラジルの選手たちが、優勝を決めた直後に「セナ、ここに来て一緒に祝おう!」と書いた幕を広げていたのを思い出しました。ゴールキーパーのカシーヤスの涙も印象的でしたね。優勝候補と言われながら、いつも敗退していたので、本当にうれしかったのでしょう。スペインはお祭り騒ぎでしょうね。祝ったり、騒いだりするのが大好きな人達ですから、、、おめでとうございます!

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2010年7月10日 (土)

スペイン勝った!

Scr1007091142016p3 熱戦が続いているワールドカップ、日本もメキシコも破れて、ぼくが応援しているのはスペインです。

 スペインには昔、6か月も滞在したことがあるほど、好きな国なんです。 あの時は、1994年のアメリカのワールドカップが開かれていた頃で、スペインは、その時、確か準決勝でイタリアに敗れて、決勝に進めませんでした。僕は、旅の途中の一休みで、南部アンダルシア地方のグラナダという町で、7月の一か月だけアパートを地元の学生とシェアして語学学校に通うという生活をしていました。スペインが負けた試合は、アパートでスペイン人達と見ていましたが、彼らの落胆ぶりはひどくて、ちょっと声をかけられなかったほどだったことを覚えています。まっ、単純な?彼らのこと、次の日には元気になっていましたけどね。決勝は、その町にあったブラジル料理屋で、ブラジル人やスペイン人、他の国から来ていた留学生達と見ました。イタリア対ブラジルだったのですが、皆、イタリア憎しでブラジルを応援していました。PKにもつれて、最後に相手のエース、ロベルト・バッジオが外してブラジル優勝が決まると、皆大騒ぎでした。

 今回の準決勝ドイツ対スペインでスペインが勝利した試合を観ていて、そんな昔のことを思い出してしまいました。しかし、あの試合はカードが一枚も出ないクリーンな試合で良かったですね。あの決勝ゴール、ドイツのディフェンダーは手を使えば止められたんじゃないかな?ウルグアイの選手がガーナ戦で確実に入りそうだったゴールを手で止めて、PKにして相手が失敗して勝ちを拾った例がありましたからね、、、でも、それをしなかったのはエライ!と思いました。サッカーは人生の縮図で、時には汚い手を使ってでも勝たなければ、という南米流の「マリーシア」は必要悪だという考え方は好きではありません。みっともない勝ちよりも美しい負けを、というのがドン・キホーテの国、スペインらしいですね。

 まあ、決勝も、あの美しいクリーンなパスサッカーでオランダを撃破して初優勝を決めて欲しいものです。無敵艦隊(ARMADA INVINCIBLE)と呼ばれながら、ワールドカップでは、あまり良いところが無かったですからね。しかし、今のスペイン代表チーム、ペドロ、イ二エスタ、シャビに決勝ゴールのプジョルとまるでFCバルセロナのようですね。すごく期待されながら今大会ノーゴールに終わったアルゼンチンのメッシもここにいたら、じゃんじゃん点を取れたんじゃないでしょうか?

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2010年7月 6日 (火)

映画イベントやります!

Nasarin ワールドカップ、遂に4強が決まりましたね。南米勢強し!といった印象だったけど、結局ベストフォーに残ったのは欧州勢が3で南米はウルグアイだけでした。やっぱ、個人技頼りでは組織力に勝てないのかな、、、

さて、来る7月26日に、サルシータとしては初めての試みとして、

「真夏の夜のブニュエル」

という映画イベントをやることになりました。スペイン出身で、メキシコで長く活躍した映画監督ルイス・ブニュエルの、日本ではなかなか見られない傑作映画を皆で楽しもう、という試みです。

 今回選んだ映画は「ナサリン」、ブニュエル通算20作目のメキシコ時代の作品です。原作は「スペインのバルザック」と呼ばれる作家ベニート・ぺレス・ガルドス、撮影監督はメキシコの巨匠ガブリエル・フィゲロアで、メキシコを舞台に、俗世間の中、信仰に命を奉げる神父の苦悩を描いて宗教映画の傑作と呼ばれています。ドンキホーテとキリストを一緒にしたようなキャラクター(というか、もともと、この二人は似ていた?)を通して鬼才ブニュエルの個性が存分に発揮されていて、彼の最高傑作の一つではないでしょうか。

 イベント当日は、80インチの大スクリーンでこの映画を楽しんで頂きますが、その他に、ウエルカムドリンクとして、ブニュエルが自伝"Mi ultimo susupiro"(私の最後のため息)で披露した彼の創作カクテル「ブニュエロニ」を、上映後には食事会としてメキシコ料理の傑作「鶏肉のモレポブラーノ」を、食後にはスペイン生まれのメキシコでも人気のデザート「ブニュエロ」に、メキシコスタイルのコーヒー「カフェ デ オージャ」を楽しんで頂きます。

 映画好き、メキシコ好きなら、絶対満足して頂ける内容と自負しております。只今、参加者募集中!ちなみに定員は20名で、今、半分近く埋まっていますので、ご希望の方はお早めにお願いします。以下詳細です。

日時: 7月26日(月)19:30スタート お食事は21:00くらいから、終了は22:30くらいを予定しています。

場所: 広尾サルシータ

料金: 3000円(食事、飲み物、デザート、コーヒー付き)

連絡先 広尾サルシータ 03-3280-1145

     info@salsita-tokyo.com

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