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2009年6月 8日 (月)

テックスメックス

51gizglae9l__sl160_aa115_  午後3時頃、キッチンで仕込みに追われていると、なにか人の気配が、、、

"Excuse me!(すみません)"という声がしたので客席のほうに行ってみると、大柄な黒人の女性が立っていました。にこやかな調子で "I'm craving for Mexican food! What time do you open?(私はメキシコ料理に飢えてるの。何時にお店開けるの?)" と聞かれ、午後5時半だと伝えると、"Can I see the menu?(メニューを見せて)" 、待ちきれない!といった感でメニューに目を通しだしたのですが、しばらくすると、その表情にどことなく落胆の色が、、、

 たぶん、彼女はサルシータのディナーメニューにブリトーやファヒータス、ハードシェルのタコスが無いのを見て「信じられない、がっかり。」という気持ちだったのでしょう。"Ok! I might come back!(あとで来るかも)"と言って店を出て行きましたが、will(来る)ではなくmight(来るかも)だった時点で、あーこの人は来ないな、と思ってしまいました。そして、結果も予想通り。駅の向こうにあるカリフォルニア風のメキシコ料理屋さんにでも行ったかな?

 ここ、広尾はご存知のように外国人の方達がとても多くて日本人のほうが少数派と思えるほどですが、メキシコ料理が好きな方がよその土地に比べてとても多い反面、やはり大半の方達はアメリカ風のメキシコ料理を期待しているんだなと実感します。

 アメリカにはメキシコ料理のお店が本当にたくさんあって、そのほとんどが本場メキシコ風ではなく、いわゆるテックスメックスと呼ばれる国境の北側のメキシカンです。タコスは油で揚げたハードシェル。トルティーヤは小麦粉のものが主流。味付けはメキシコの唐辛子ではなくチリパウダーを多用する。エンチラーダやブリトーには熔けるチーズをたくさん乗せる。小さい頃からそんな料理を食べて育ってきた人達には、とても愛着がある料理なんでしょうね。

 うちのメニューは、本場メキシコのものなので、そんな料理を目当てに来店される方のご期待を裏切ってしまうことが多いようです。ネットで「チーズが乗ってないエンチラーダは致命的だ。」などと書かれたこともあります。これって日本のお鮨屋さんで「アボカドの入ってる鮨がないのは致命的だ。」と言ってるようなものなんですけどね、、、

 せっかく来て頂いたお客さんのご希望に副えないのは心苦しい限りです。多くのお客さんはテックスメックス風のメニューでじゅうぶん満足するのだろうし、そんな料理に代えたほうが、需要も高く、コストもかからず、経営的には良いのかもしれませんが、本物のメキシコ料理を知ってしまった以上、もう後へは戻れません。明日からもメキシコの国旗を掲げて、"AUTHENTIC MEXICAN"と書いた看板を出してお客さんを待ち続けます。

 

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