« 買物三昧 | トップページ | 本日のランチ »

2008年4月15日 (火)

フレンチコンプレックス

 先日、あるフランス料理のシェフの方のブログを紹介しました。ぼくはフランス料理が好きと言えるほどは食べていないのですが、メキシコ料理なんていうマイナーな(少なくとも日本では)世界にいると、ついつい、メジャーなフランス料理に対して羨望の念を抱いてしまうことも多いです。

 これは、メキシコのシェフ(そして、多分他のラテンアメリカ諸国のシェフにも)言えることのようで、ぼくが親しくさせてもらった、彼の国のシェフ達は、一様にフランスに対して憧れの念を持っていたように思います。

 まあ、これは料理だけでなく、社会に於いてもそうで、ラテンアメリカの国々が植民地から独立を果たし得たのも、フランス革命以後のフランスの自由や人権、民主主義を尊ぶ精神を受け継いだシモン・ボリバール等の指導者によってでした。

 メキシコの場合、スペインから独立を果たした後、フランスに支配されていた時期もあったので、フランスの影響はかなり大きいなと感じることがあります。いつか取り上げた「悲劇週間」という本の中では、若き日の詩人、堀口大學はフランス語を学ぶためにメキシコに行っています。当時のメキシコの上流社会ではフランス語が公用語だったからです。メキシコの料理にもフランス料理の影響は大きいです。向こうのレストランでよく出されるクレープやキッシュの変形のブディンなどは明らかにフランス起源です。

 確かにフランス料理は偉大だなと思います。ミシュランのガイドブックに載るようなお上品なフレンチには、あまり興味は無いのですが、家庭的な料理に美味しいものが多いと思います。忙しい時なんか賄いでよく作るんですが、豚肉を大きな塊りのまま白ワインと香味野菜と一緒に大きな鍋に入れて弱火でコトコト煮るだけの「ベッケオフ」という料理や骨付きの鶏肉を蒸し煮にして煮詰めた赤ワインビネガーを絡ませるだけの料理とか、手軽に出来てとても美味しい料理が沢山あります。フランス料理が優れているのは、素材を無駄なく使いこなす知恵と、やはり、ワインやビネガー、バター、クリームなどの発酵食品、乳製品が調味料として大変優れているからだと思います。

 ちょっとズルイなと思うのは、フランス料理というのは、技法として完成されていて、世界中から色々な素材やスパイスをつまみ食い宜しく持ってきて使ったとしても、「フランス料理」として認めてもらえるという点です。例えば、ビストロの定番メニューに、豚のあばら肉をソテーしてじっくり炒めた玉ねぎと白ワインを煮詰め、マスタードとピクルスを効かせたソースをかける料理がありますが、マスタードとピクルスの代わりにメキシコの唐辛子を入れてみたらどうでしょうか?じゅうぶん美味しい料理になると思いますが、フランス料理のままですよね。逆にメキシコ料理に赤ワインやバターを多用すると、もうメキシコ料理ではなくなってしまうでしょう。

 ついつい、長くなってしまいました。そういえば、うちの店はフランス大使館のすぐ近くなので、フランス人のお客さんもよくお見えになられます。味の肥えたフランスの方にも支時されているようなので、メキシコ料理もまんざら捨てたものじゃない、ということで、結論にさせて頂きます。お休みなさい。

|

« 買物三昧 | トップページ | 本日のランチ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 買物三昧 | トップページ | 本日のランチ »