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2006年10月 6日 (金)

チャベーラ・バルガス

 一昨日書いたリラ・ダウンズと共に映画「フリーダ」に出て歌っていた大ベテラン女性歌手、チャベーラ・バルガスが長いブランクの後、70才代にして94年にスペインで復活して出したアルバム”VOLVER VOLVER"を久々に聴いてみて、その凄さに圧倒された。多彩なアレンジと声のトーンで聴かせるリラのがカラフルな水彩画だとしたら、伴奏はギターのみで声は低いしわがれ声だけのチャベーラは、さしずめ水墨画か。一見(1聴)とても地味だが、よーく見ると(聴くと)そのモノトーンの世界の中に実にさまざまな色が潜んでいて、とても奥深い世界に連れて行ってくれる。まさに傑作!

 チャベーラ・バルガスは1919年頃、中米のコスタリカ(グアテマラという説もあった)生まれ、17才頃、メキシコシティに出てきて、あのフリーダ・カーロと親交を持ち、彼女の「青い家」に住んでいたこともあるという。破天荒な生活もフリーダ並みだったらしい。50年代頃から歌手として人気が出て、唯一無二の個性で数々の名昌を残すもテキーラの飲み過ぎで体を壊し、80年頃から長期の療養生活を余儀なくされる。

 そして、94年にスペインで復活して出したのが、この"VOLVER VOLVER"だったわけです。その後、彼女を賞賛する映画監督ペドロ・アルモドバルがサントラ盤に彼女を起用したり、ホアキン・サビーナやアナ・ベレンといったスペインのスター歌手が彼女とデュエットを録音したりして、再び人気に火が付き、映画「フリーダ」にも出演となったわけです。ぼくの大好きなメキシコのロックバンド、カフェ タクーバも彼女に捧げる歌を作っています。

 表題曲の"VOLVER VOLVER"やホセ・アルフレッド・ヒメネスの"EN EL ULTIMO TRAGO"といった名曲の他に、リラ・ダウンズの新作に入っていた、やはりヒメネスの曲"LA NOCHE DE MI MAL"もチャベーラのこのアルバムに入ってますが、凄い迫力と渋さです。リラじゃなくても裸足で逃げ出したくなるんじゃないかというくらいの。ところで、リラのアルバムの歌詞カードで、この曲のとんでもない誤訳を発見!恋人に去られた男(女)の悲しい独白のような歌ですが、”Si yo te hubiera dicho "no medejes",mi propio corazon se iba a reir.”(もし私があなたに行かないでと言っていたら、私のこの心が(私自身を)笑っていただろう)のところの最後のキメの部分の英語訳が”My own heart would have died”になっていました。「死んでいただろう」じゃないでしょう!ここを間違ったらせっかくのヒメネスさんのラテンの美学が生きないんですよ!

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